【HOUSE OF M】#1-8(2005.6-11)
Writer: Brian Michael Bendis / Penciler: Olivier Coipel / Inker: Tim Townsend / Letterer: Chris Eliopoulos / Colorist: Frank D'Armata
【HOUSE OF M】#1(2005.6)
積もり積もった不幸な人生ゆえにワンダ・マキシモフ(スカーレットウィッチ)の精神は崩壊、暴走の末に自らのヒーローチーム「アベンジャーズ」を基地を含め目茶目茶にしてしまう。エリック・マグナス・レーンシャー(マグニートー)はそんな娘を自分の元に引き取り、チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)と共に看病する日々を送っていた。――半年が経ち、ワンダの病状は良くなるどころか悪化するばかり。彼女の能力は現実操作。現実の受け入れ難い辛さのため、ワンダは何度も世界を作り変えそこに逃避しようとしてしまう。今はエリックが住居にシールドを張り、チャールズが精神力でワンダをその都度とどめているが、根本的な解決は出来ないどころか、いつまでも今の状況ではいられない。行詰まったチャールズはニューヨークへと相談に出かける。ワンダの属していたアベンジャーズと、ミュータントの専門チームであるX-MENで会議を開き、今後の対策を検討するために。
X-MENの指導者の一人であるエマ・フロストはワンダを死なせてやるべきだと発言し、ワンダかつての仲間アベンジャーズ側はそれには絶対反対。議論に決着を見ないまま、一行はアベンジャーズ側の希望により、ワンダの容態を見に滞在先のジェノーシャ共和国へと向かう。
ジェノーシャに着いてみると、チャールズ達が暮らしていた家はもぬけの空になっていた。不審に思い家を見渡すヒーロー達、だがその瞬間チャールズも忽然と姿を消す。外まで探しに出た一行は、聖堂のような建物に辿り着き、そこで謎の白い光に包まれる――。
【HOUSE OF M】#2(2005.6)
新たな朝が訪れる。世界中の誰もが、全く違う人生を生きている。ミュータントが世界の主流になり、人類が「サピエン」という蔑称で呼ばれマイノリティーに転落した世界に…。それは誰もが心のどこかで願っていた夢の一部が少しずつ実現したかのような世界。栄光を望む者には栄光の座を。平凡を望む者には平和な生活を――。この世界ではマグニートーが全世界に君臨し、その家族はM王室と呼ばれているのだった。
【HOUSE OF M】#3(2005.7)
世界が変わってしまったことに、誰も気づかないように見えた。この世界の記憶を植え付けられているかのように。……だが、たった一人「真実の記憶が欲しい」と願っていた人物に、その願いが叶えられる。ローガン(ウルヴァリン)はその朝、自分の人生の、正しい世界での人生全ての記憶を持って目覚めた…。
【HOUSE OF M】#4(2005.7)
ローガンはM王室のミュータント優遇路線に反旗を翻しているヒューマン・レジスタンスに接触、そこで捻じ曲げられた記憶を戻すことの出来る能力を持つ少女ライラ・ミラーに出会う。彼女もまた元の世界の記憶を持っていて、変わってしまった現実に戸惑っていたのだった。
【HOUSE OF M】#5(2005.8)
ローガンとライラは元の世界のヒーロー達を次々と捜し出し、記憶を元に戻していく。一人一人と集まったヒーロー達は、誰もが人生を玩具のように弄ばれたことに激しい憤りを隠せない。これはきっと、長年世界の頂点に立ちミュータント優勢の世を作りたいと願っていたマグニートーが、自分の野望の為に娘を利用したのだろうと確信し、全員一致でマグニートーとワンダを倒す決意を固めるのだった。
その頃マグニートーはジェノーシャの自分の王宮にいた。改変されたこの世界の歴史では、マグニートーが人類との戦いに勝利し、ミュータントを抑圧から解放してから30年が経つ。王宮では間もなくその祝賀式典が行われようとしていた。
【HOUSE OF M】#6(2005.9)
記憶を取り戻したヒーロー達は、シールドのヘリキャリアーに乗り込み、決戦の為にジェノーシャへと向かう。
今宵はマグナス王家の祝祭の夜――。
夕焼けに包まれるジェノーシャでは、M王室と近衛兵が宴の参列客を出迎えていた。
到着したのはヴィクター・フォン・ドゥーム。先日マグニートーを陥れてM王室乗っ取りを企てたばかりだった(@Fantastic Four: House of M)。
マグニートー
「君の返事を受け取ってかなり驚いているよ」
ドゥーム
「私が招待されたことに比べて、どちらが驚きだと思うね?」
二人はまるで何事も無かったかのように、円満な笑みを浮かべて握手を交し、報道陣の撮影に応える。だがマグニートーの背後ではピエトロとローナが油断なく目を光らせているのだった。
その頃ジェノーシャに向かうヘリキャリアーの中では、メンバーがシールド隊員に紛れて食堂で一時の休憩を取っていた。
戦いを前に何か食べておいた方がいいというスコットだが、殆んど誰も食事を取ろうとはしない。そこでスコット(サイクロップス)が全員を周りに集め、作戦会議を開く。だがいざ戦いを前にして、こんなことをして果たして世界が元にもどるのか、自分達がしようとしていることは正しいことなのか、一同には戸惑いや迷いが交錯する。エマ・フロストは、やってみなければ。やらないといけないわ。消えてしまったエグゼビアを探さなければ…と繰り返すばかり。
その頃ジェノーシャのマグナス宮では、陽も沈み、盛大な宴が始まろうとしていた…。
招待客たちの注目が中央に集まり、今まさにスペシャルゲスト達が入場しようとしているところだった。アフリカはワカンダのティチャラ王、ラトヴェリアの王ヴィクター・フォン・ドゥーム、クリー帝国代表ジェニス=ヴェル、ケニヤのオロロ姫、アトランティスのネイモア王――。
そして舞い散る紙吹雪と、一際盛大な拍手と共に近衛兵たちが跪き、
マグナス王室の臨場が知らされる。
ピエトロ(クイックシルバー)、頭飾りを目深に被っていて表情こそ見えないがワンダとおぼしき女性、ローナ(ポラリス)、そして小さな孫息子の一人を片手で抱き寄せ、一人を膝に乗せたエリック・マグナス(マグニートー)――。
その時、近衛兵の一人ファンタジアが頭上を見上げる。
はるか上空から、一体のセンチネルが落ちてきたのだ。
即座に立ち上がり磁力で墜落を阻止するマグニートー。
しかしそのセンチネルには、ヒーロー達が乗っていた。
たちどころに近衛兵を蹴散らすメンバー。サイクロップスは
センチネルの動きを止めているマグニートーに標準を合わせると、オプティックブラストを放つ――。
ローナ
「父さま!!なんてこと!!なんて――」
支えを失ったセンチネルはその場に墜落、祝祭の場は一転して大混乱に陥る…。
その頃、エマとライラの二人はクロークのテレポートにより、密かに城の庭園へと降り立っていた。そこにあるのは
「エグゼビアメモリアルガーデン」……これがチャールズの墓だと思ったエマは愕然としてその場に泣き崩れる――。
【HOUSE OF M】#7(2005.10)
祝祭の場から戦場へと、一転してしまったジェノーシャ、マグナス宮。戦いの場から遠く弾き飛ばされたマグニートーは、「エグゼビアメモリアルガーデン」に追いつめられる。そこは、ジェノーシャの未来の為に命を落とした旧友を偲んで、マグニートーが自分の王宮の一角に設えた沈思の庭園だった。
そして今、そこにはチャールズ・エグゼビアを探しに侵入していたエマとライラがいた。
マグニートー
「何故私を、私の家族を襲うのだ!?」
理由の分からない激しい攻撃に怒りと戸惑いを表す磁界の帝王。ライラはすかさずマグニートーに対し能力を発する。記憶を、彼に戻すために――。
一方、Dr.ストレンジはワンダと精神的な駆け引きに至る。彼女から引き出した真実は――皆の思い込んでいたものとはまるで違っていた…。
真実の発覚と共に悲劇は頂点を迎え、ワンダは悲しみの中で再び能力を発動する…。
【HOUSE OF M】#8(2005.11)
ミュータントに絶望したワンダが最後に呟いた言葉は「No more mutants...」
世界が再び夜明けを迎えたとき、まるで全ては元通りになっているかに見えた。だが、実際はそうではなかった――。
(感想:ドゥームたんに関することだけ書きます。これ以外の粗筋や感想は拙宅磁界王部屋をご覧下さいませ☆
ドゥームたんの出番は#6と#7です。
まず#6:
自らの率いる4人のチームでM王室に挑戦し…敗れ去ったドゥーム。けれどマグニートーは家族を失ったドゥームを放免し、ラトヴェリアの王のままでいさせる。まるで生き甲斐を失ったまま生き続けることが彼に課せられた罰だというかのように。
ラトヴェリアの王であり続けるということは、ドゥームは今後もマグニートーとの関係を断てないということに他ならない。
妻子が命を落とし、母を奪ったM王室からドゥームの元に祝祭への招待状が送られる。
王としての面目とラトヴェリアのため、自分を徹底的なまでに打ちのめしたマグニートーの元へ、ドゥームは行かなければならない。
愛する者たちの仇である男を祝わねばならない。
ジェノーシャとラトヴェリアは外交上何の問題もないかのように、笑顔で記者達のカメラに写らなければならない。
こんな絶望と屈辱にまみれてる孤独で切ないドゥ―ムたん…… 滅 茶 苦 茶 萌 え なんですけど…!!!vvvv
いつも4人でいたドゥームたんが、たった一人でタラップに下りてくる様子からして切なくて悶えます。
笑顔の裏に隠されたものに胸がきゅーんとなります。
いやあ、もう、たまりません。
お付きの男たちと衣装を揃えているのも萌えーー!!!
#7:
たったひとコマだけ、混戦シーンで出番があります。
既に酷い目にあった後なのに、今度は自分のせいじゃないのに戦いに巻き込まれて酷い目にあわされてさすがに可哀想すぎます。
全ての事件が終わった後、この時マグナス宮の戦いの場にいた人たちは、HOM世界での記憶が残っていることになっているみたいだけど、ドゥームたんはどうなのかなー…というのが気になってしょうがないです。)
<2006.2.12>
▲TPB『HOUSE OF M』に収録
(ながめ)